コラム

ビール製造における、上面発酵、下面発酵とは?どんな違いがあるの?

上面発酵、下面発酵とは?どんな違いがあるの?

クラフトビールに興味を持ち始めると、よく耳にするのが「上面発酵」と「下面発酵」という言葉です。これはビールの発酵方法の違いを指しますが、「なんとなく聞いたことはあるけれど、正直よくわからない…」という人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、この2つの発酵方法についてわかりやすく解説します。例え話も交えながら、ビール初心者でも理解しやすいように説明していきます。

1. そもそも発酵とは?

まず、「発酵」とは何かを簡単に説明すると、「酵母(こうぼ)が糖をアルコールと炭酸ガスに分解すること」です。つまり、発酵のおかげでビールにはアルコールが生まれ、シュワっとした泡ができるのです。

ビールの発酵方法は、大きく「上面発酵」と「下面発酵」の2種類に分かれます。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

2. 上面発酵(エールビール)とは?

上面発酵は、発酵のときに酵母がビールの表面(上)に浮かぶタイプの発酵方法です。主にエールビールと呼ばれるビールが、この方法で作られます。

上面発酵の特徴

発酵温度が高い(15〜25℃)
発酵が早く、1週間程度で完成する
フルーティーで豊かな香りが特徴
個性的な味わいのビールが多い

例えるなら?

上面発酵のビールは、まるで「陽気なパーティー好き」のようです。
温かい環境で元気に活動し、フルーティーな香りや豊かな味わいを生み出します。

代表的なエールビール

  • ペールエール(華やかな香りとホップの苦味がバランス良い)
  • IPA(インディア・ペールエール)(ホップがガツンと効いた苦味と香り)
  • スタウト(焙煎したモルトの香ばしさが特徴)
  • ヴァイツェン(小麦を使ったバナナのような甘い香りのビール)

3. 下面発酵(ラガービール)とは?

一方で、下面発酵は酵母がタンクの底(下)で発酵するタイプです。こちらはラガービールと呼ばれるビールが該当します。

下面発酵の特徴

発酵温度が低い(5〜15℃)
発酵に時間がかかり、数週間〜数ヶ月必要
すっきり爽やかな味わいが特徴
クセが少なく、飲みやすい

例えるなら?

下面発酵のビールは、「落ち着いたクールな性格」のようです。
低温でじっくりと発酵することで、スッキリとしたクリアな味わいを生み出します。

代表的なラガービール

  • ピルスナー(世界中で一番飲まれている、黄金色の爽やかなビール)
  • ボック(モルトの甘みが強い濃厚なビール)
  • シュバルツ(黒ビールの一種で、ロースト香があるがスッキリ)

4. どちらが好み?エール vs ラガー

「結局どちらが美味しいの?」と気になる人も多いかもしれませんが、正直これは好み次第です。

フルーティーで香り豊かなビールが好きなら → エールビール
スッキリして飲みやすいビールが好きなら → ラガービール

例えば、暑い夏にゴクゴク飲みたいなら、爽快なピルスナー(ラガー)。 逆に、じっくり味わいたいなら、芳醇なIPA(エール)という感じで選ぶと良いでしょう。

5. おまけ:ハイブリッドな発酵方法もある!?

実は、「上面発酵」と「下面発酵」の中間的な発酵方法も存在します。

ケルシュ(上面発酵ですが低温で熟成させる)
カリフォルニア・コモン(スチームビール)(下面発酵ですが高めの温度で発酵)

こうしたちょっと変わったビールもあるので、興味があれば試してみるのも面白いでしょう。

まとめ

  • 上面発酵(エールビール) → フルーティーで個性的、温度高め
  • 下面発酵(ラガービール) → スッキリ爽快、低温でじっくり
  • どちらが好きかは好み次第!

次にビールを選ぶときは、「これはエール?ラガー?」と少し意識してみると、もっと楽しくなるはずです。

お気に入りのビールを見つけて、美味しく楽しみましょう!