スーパーやコンビニに並ぶ缶ビールをよく見ると、「ビール」と書かれているもののほかに、「発泡酒」「新ジャンル」などいろいろな表記がありますよね。値段もまちまちで、同じ350ml缶でも20〜30円ほど差があることも珍しくありません。なんとなく「発泡酒は安いし、味が軽い気がする」と思っている人も多いのではないでしょうか。ですが、そもそもビールと発泡酒って何がどう違うのでしょうか?さらに近年はクラフトビールの人気が高まり、小規模な醸造所や新しく立ち上がるブルワリーも増えています。この記事では、ビールと発泡酒の違いを分かりやすく解説しつつ、小規模醸造所が抱える制約や工夫についても紹介します。
ビールと発泡酒の基本的な違い
まずはシンプルに、ビールと発泡酒の違いを押さえておきましょう。日本では酒税法という法律によって、ビールと発泡酒はきちんと定義されています。
ビールは「麦芽比率が50%以上」で、ホップと水、酵母を使って発酵させたもの。つまり、麦芽が半分以上使われていることが条件です。さらに、使用できる副原料(お米やコーン、スターチなど)も限られており、使える種類や量には上限があります。そのため、ビールは麦芽の香ばしさやコクがしっかり感じられるのが特徴です。
一方、発泡酒は「麦芽比率が50%未満」か、「麦芽比率が50%以上でも、認められた副原料以外を使っているもの」を指します。たとえばフルーツやスパイス、ハーブなどを使ったビール風飲料は、法律上は発泡酒として扱われることが多いです。味わいとしては、ビールよりも軽やかで飲みやすく、価格も比較的安め。手軽にゴクゴク飲めるのが魅力です。
なぜ発泡酒が生まれたのか
発泡酒が広く普及した背景には、税金の存在があります。日本では長らくビールの酒税が高く設定されており、家庭で飲むにはやや贅沢な存在でした。1990年代後半、各メーカーが「もっと安く提供できないか」と考え、麦芽比率を下げることで税率を抑えた商品を開発しました。これが発泡酒ブームの始まりです。
2000年代前半にはさらに税率の低い「第3のビール(新ジャンル)」も登場し、ビール市場は大きく変化しました。こうした歴史的背景があるからこそ、今でもコンビニやスーパーではビールと発泡酒が並んで販売されているわけです。
クラフトビールと小規模醸造所の存在感
最近ではクラフトビールブームが続き、全国各地に小規模なブルワリーが次々と誕生しています。この流れを生んだのが、1994年の酒税法改正です。それまでは年間生産量2000キロリットル以上でなければビール免許を取得できず、大手メーカーしかビールを造れませんでした。ところが改正で基準が60キロリットルに緩和され、小規模な醸造所でも参入できるようになりました。これをきっかけに、地ビールブームが起こり、地域の特産物を活かしたビールが次々に生まれたのです。
クラフトブルワリーの魅力は、なんといっても自由な発想。地元の果物やハーブ、スパイスを使った個性豊かなビールが楽しめます。ただし、これらの副原料を多く使った商品は、法律上は「ビール」ではなく「発泡酒」として扱われることも少なくありません。つまり、発泡酒=安いだけの代替品、というイメージはもう古いのです。クラフトビール好きの間では、発泡酒表記の商品こそ面白い!と言われることもあります。
新規醸造所が直面する制約と工夫
新しくブルワリーを立ち上げる際には、いくつかのハードルがあります。まずは酒税法上の免許取得。ビール免許は年間60キロリットル以上の生産計画が必要ですが、小さなブルワリーでは初年度からそこまでの生産が難しいこともあります。そんな場合は、より条件のゆるい「発泡酒免許」でスタートするケースも多いです。
発泡酒免許では、年間6キロリットルの生産計画でスタートできます。
発泡酒免許なら麦芽比率や副原料の自由度が高いため、レシピ開発の幅が広がるメリットもあります。結果的に、フルーツビールやスパイスエールなど、独創的な商品が次々に生まれています。小規模醸造所にとって、発泡酒はコスト削減のためだけでなく、「個性を発揮するための武器」でもあるわけです。
消費者目線で楽しむポイント
では、私たち消費者はどう選べばよいのでしょうか。まずは価格と味のバランス。毎日飲むなら手軽な発泡酒や新ジャンルが頼もしい存在ですが、週末や特別な日にはしっかり麦芽のコクを味わえるビールやクラフトビールを選ぶと、気分が盛り上がります。
ラベル表示もチェックしてみましょう。「ビール」「発泡酒」「その他の醸造酒」といった表記で、どのカテゴリーかがわかります。副原料の記載も見てみると、「お、地元の農産物を使ってる!」なんて発見があるかもしれません。
まとめ:違いを知ればもっと楽しい
ビールと発泡酒は、単に麦芽の量が違うだけではなく、歴史的背景や税制、小規模醸造所の挑戦など、さまざまな要素が関わっています。違いを知ることで、価格や味わいの理由がわかり、選ぶ楽しみがぐっと広がります。次にコンビニの棚を眺めるときは、ぜひラベルをチェックしてみてください。そして機会があれば、小さなブルワリーのビールや発泡酒も試してみましょう。きっとあなたの“お気に入りの一杯”が見つかるはずです。






